「御社の一番の強みはなんですか?」
取材の場で記者さんからこう聞かれたとき、すぐに答えられますか?
実は私、広報担当になりたての頃、この質問にしどろもどろになってしまった経験があります。「えっと、やはり温泉の泉質が……あとは料理も……」と言葉が出てこず、その場では満足に答えられませんでした。
後日、きちんと整理してメールでお答えしましたが、あの経験がきっかけで「自社の魅力を言語化すること」の大切さを痛感しました。それ以来、Q&Aリストを作って言語化した内容をストックする習慣を始めました。
この記事では、広報担当として必須の「魅力の言語化」について、強みだけでなく課題の言語化も含めてお伝えします。

魅力の言語化とは何か
「言語化」とは、頭の中にある漠然としたイメージや感覚を、誰にでも伝わる言葉に変換することです。
広報の文脈で言えば、「うちの会社・施設はこういう価値を提供している」という内容を、メディアの記者・消費者・社内スタッフなど、様々な読み手に伝わる言葉で表現することです。
「なんとなくいいと思っている」「現場の人たちはわかっている」——それだけでは広報として機能しません。言葉にして初めて、外に届けることができます。
なぜ言語化が広報担当に必須なのか
広報担当者は、様々な場面で自社の魅力を言葉にする必要があります。
- プレスリリースのタイトルとリード文
- 記者からの突然の質問への回答
- SNSの投稿文
- メディア向けのピッチメール
- 社内報でのサービス紹介
これらすべてに共通しているのは、「自社の魅力を瞬時に言葉にする力」が必要だということです。
言語化が不十分だと、私のようにしどろもどろになってしまう場面が出てきます。逆に言語化が完成していれば、どんな質問にも自信を持って答えられます。
強みの言語化:「当たり前」を言葉にする
自社の強みを言語化するとき、最初の壁になるのが「当たり前すぎて気づかない」という問題です。
毎日接していると、自社の良さが「当たり前」になってしまいます。旅館で言えば、「温泉の泉質が良い」「料理に地元食材を使っている」「スタッフのおもてなしが丁寧」——これらは内側にいると当たり前に感じますが、外から見れば十分な強みです。
言語化の手順
① お客様の声を集める OTAの口コミ・アンケート・SNSのコメントなど、外部からの声をそのまま使うと、言語化のヒントになります。「スタッフの笑顔が温かかった」という口コミがあれば、「人の温かさを感じられる宿」という言葉につながります。
② 「なぜ」を5回繰り返す 「うちの強みは温泉です」→「なぜ温泉が強みか」→「泉質が良いから」→「なぜ泉質が良いか」→「源泉かけ流しだから」→「なぜそれが価値か」→「添加物なしの本物の温泉体験ができるから」。こうして深掘りすることで、表面的な強みの背景にある本質的な価値が見えてきます。
③ Q&Aリストを作ってストックする 私が実践しているのが、「聞かれたことがある質問」をQ&Aリストにまとめることです。取材でしどろもどろになった質問も、後日きちんと言語化してリストに追加しています。このリストが蓄積されるほど、どんな質問にも対応できるようになります。
課題(弱み)の言語化こそ広報担当の強みになる
ここが多くの広報担当者が見落としているポイントです。
課題や弱みを隠す広報より、課題に正直に向き合う広報の方が、メディアに刺さります。
なぜなら、メディアはストーリーを求めているからです。「完璧な施設です」という話より、「こういう課題があって、こう改善しています」という話の方が、はるかにリアルで共感を生むネタになります。
具体的な言語化の例
「客室の設備が古い」という課題があるとします。これをそのままにするのではなく、こう言語化します。
「創業◯年の歴史ある旅館として、現在客室の設備を順次リニューアル中です。古き良き日本の旅館の雰囲気を残しながら、現代の快適さを取り入れることにチャレンジしています」
課題をそのまま言うのではなく、「改善への取り組み」として言語化することで、ネガティブな情報がポジティブなストーリーに変わります。
言語化をサボると起きること
再び私の失敗談をお伝えします。
言語化が不十分だと、思ってもみない質問が来たときに対応できなくなります。「なぜその施設はインバウンド客に人気なんですか?」「競合他社と何が違うんですか?」——こういった質問は、事前に言語化していないと即答できません。
しどろもどろになってしまった場合、その場で誤魔化してしまうことが一番危険です。後日きちんと整理して回答することは、信頼回復の意味でも大切です。そしてその質問を必ずQ&Aリストに追加して、次に備えることが重要です。
まとめ
- 強みの言語化:お客様の声・「なぜ」の深掘り・Q&Aリストのストックで磨く
- 課題の言語化:弱みを隠さず「改善への取り組み」としてストーリー化する
- Q&Aリストを作る:聞かれた質問を言語化してストックし続ける
言語化は一度やれば終わりではありません。新しいサービスが始まるたび、新しい課題が出るたびに更新し続けるものです。広報担当者として、言語化を習慣にしていきましょう。
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