旅館・ホテルがメディアに取り上げられるための広報戦略|有名どころじゃなくても取材される方法

「うちの旅館は有名でも新しくもないから、メディアには取り上げてもらえない」

そう感じている旅館・ホテルの担当者は多いのではないでしょうか。

テレビの旅番組に取り上げられるのは、絶景の露天風呂・映える料理・話題の新施設

そんな「絵になる」旅館ばかり。確かにそれは事実の一面です。しかし、それだけがメディアに選ばれる条件ではありません。

私は旅館・ホテル・観光業界の広報担当として日々実務を行っています。新しい施設でも、全国的に有名な温泉地でもない旅館でも、メディアに取り上げられる可能性は十分あります。 大切なのは「企画力」と「ストーリー」です。

この記事では、有名どころじゃなくてもメディアに選ばれるための広報戦略を、現場のリアルな視点からお伝えします。


テレビが旅館を取り上げる「絵になる条件」の現実

まず正直にお伝えします。

テレビの旅番組やメディアが好む旅館の条件は、おおむね以下のとおりです。

  • 綺麗な景色・絶景の露天風呂
  • 地元素材を使った映える料理
  • 大きくてインパクトのある温泉施設
  • 新しくてスタイリッシュな施設

これらは「テレビで絵になる」要素です。視聴者が見て「行きたい!」と思える映像が撮れる旅館が選ばれやすい。それが現実です。

しかし、全国の旅館・ホテルの多くは、こうした条件を全て満たしているわけではありません。温泉の泉質は良く、料理も美味しく、口コミ評価も高い。それでも「絵にならない」という理由でメディアに選ばれにくいケースは非常に多いです。

では、そういった旅館はメディア露出を諦めるしかないのでしょうか?

答えは、NOです。


「絵にならない旅館」がメディアに選ばれるための考え方

メディアが求めているのは「映像の美しさ」だけではありません。社会的な意味のあるストーリーを求めています。

地方創生・産学連携・人材育成・観光業の後継者問題——こうした社会課題と旅館の取り組みを結びつけることができれば、経済紙・地方紙・教育系メディアなど、旅行番組以外のメディアにも取り上げられる可能性が生まれます。

そしてそのための手段として最も効果的なのが、コストをかけない企画力です。


実践例:地元高校生・大学生とのコラボ企画

私が実際に携わった中で、メディアへのアプローチとして手応えを感じた企画の一つが、地元高校生・大学生とのインターン型コラボ企画です。

内容はシンプルです。地元の高校生や大学生に数日間、旅館の仕事を実際に体験してもらいます。

体験内容の例

  • チェックアウト後の客室清掃
  • 布団・シーツの交換
  • 次のお客様を迎えるための部屋菓子の設置・館内案内の準備
  • 料理の仕込みのお手伝い
  • ウェルカムドリンクの準備とお客様のお出迎え

体験が終わった後は、学生たちにフィードバックをもらいます。「実際の仲居の仕事はもっと多く、大変だけどやりがいがある」ということを伝える授業も行います。さらに「仲居業のどこに力を入れたらリピーターが来ると思うか」というディスカッションも実施します。


なぜこの企画がメディアに刺さるのか

この企画には、メディアが好む要素が複数詰まっています。

① 産学連携というキーワード 地元の学校と旅館が連携する取り組みは「産学連携」として地方紙・経済紙に取り上げられやすいです。

② 人材育成・後継者問題への取り組み 観光業・旅館業の人手不足は全国的な社会課題です。若い世代に旅館の仕事を体験させることは、業界の未来への投資として意味があります。

③ 地方創生との連動 地元の若者が地域の旅館を知り、愛着を持つきっかけになります。「地域と旅館が一緒に育つ」というストーリーは、地方創生を追いかけているメディアに響きます。

④ 採用広報への波及効果 大学生のインターン受け入れにつながれば、新卒採用の認知度向上にも効果があります。一つの企画が広報・採用・地域貢献の三役を果たすことになります。


コストをかけない企画が旅館広報の強み

「施設を新しくする」「料理を全面リニューアルする」

こうした施策はコストが大きく、中小旅館には簡単にできません。

しかし企画はコストをかけなくても通用します。

地元の学校・大学・農家・生産者——旅館の周りには、連携できる地域の資源がたくさんあります。こうした地域との繋がりを「ストーリー」として発信することで、大手旅館チェーンには出せない「地域に根ざした旅館」としての独自の魅力が生まれます。

他社との圧倒的な差別化は、施設の新しさではなく、企画とストーリーで作れます。


旅館広報で意識したいメディアアプローチ

最後に、旅館・ホテルの広報でアプローチしたいメディアの選び方をお伝えします。

① 地方紙・地方テレビ局 地域に根ざした取り組みは、地方メディアに最も刺さります。まずは地元の記者クラブへの投げ込みから始めましょう。

② 観光・旅行系メディア じゃらん・一休などのOTAブログや、旅行専門のWEBメディアも有効です。

③ 経済紙・ビジネス系メディア 産学連携・人材育成・地方創生をフックにすると、経済紙にも取り上げてもらいやすくなります。

④ 教育系メディア 高校生・大学生とのコラボ企画は、教育系メディアやPTAの広報誌などにも刺さります。


まとめ:有名でなくてもメディアに選ばれる旅館の条件

選ばれにくい旅館選ばれる旅館
施設の新しさに頼る企画とストーリーで勝負する
「新商品が出ました」的な発信社会課題と結びついた発信
テレビの絵になることだけを狙う地方紙・経済紙・教育系など多方面にアプローチ
単独で動く地域・学校・生産者と連携する

有名どころじゃなくていい。新しい施設じゃなくていい。地域と連携した企画とストーリーがあれば、旅館はメディアに選ばれます。


旅館・ホテルの広報戦略をサポートします

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