「広報ってどんな仕事をするんですか?」
この質問に一言で答えるのは、実はとても難しいです。プレスリリースを書く、メディア対応をする、SNSを運用する——確かにどれも広報の仕事です。でも私が実際に日々の業務をこなす中で感じているのは、広報の本質は「企画」と「営業」だということです。

広報はよく誤解される仕事
広報担当者に「何をしている人ですか?」と聞くと、多くの場合「プレスリリースを書いて、メディアに送る人」というイメージを持たれています。
しかしそれは広報の一側面に過ぎません。プレスリリースを書くのは、広報の仕事の最後のステップです。その前に、はるかに重要な仕事があります。
広報のメイン業務は「企画」だと思っている
私が現役広報担当として日々感じているのは、広報の仕事の核心は「企画」だということです。
具体的な流れをお伝えします。
ステップ1:メディアに売り込むためのストーリーを考える
まず「何をどんな切り口でメディアに届けるか」を考えます。同じ情報でも、切り口次第でメディアに刺さるかどうかが全く変わります。
「新メニューが出ました」ではなく「地元の農家と3年かけて開発した、この地域にしかない食材を使ったメニューが誕生しました」——この切り口の違いが、取材されるかどうかを左右します。
ここが広報の一番の腕の見せどころです。自社の情報を社会の文脈に乗せて、メディアが「使えるネタ」と感じるストーリーを作ること。これが企画の本質です。
ステップ2:社内コンペに企画を提出する
ストーリーが固まったら、社内のコンペや広報会議に企画を提出します。
「この企画でこのメディアを狙う」「このタイミングで発信することでこういう効果が期待できる」——数字と根拠を持って提案します。
正直に言うと、提出した企画が全て通るわけではありません。「ネタとして弱い」「今の経営方針と合わない」「このタイミングではない」——様々な理由で却下されることがあります。却下されたときは悔しいですが、その都度フィードバックをもらいながら企画力を磨いています。
ステップ3:広報会議でストーリー性をすり合わせる
企画が通ったら、次は社内の関係者と「このストーリーで本当に良いか」をすり合わせます。
「この表現は事実と合っているか」「この数字を出して問題ないか」「経営層が言いたいメッセージと合っているか」——様々な視点からストーリーを磨いていきます。
このすり合わせをしっかりやっておかないと、後でメディアから取材が来たときに「言っていることが違う」というトラブルになります。実際に私も、すり合わせが不十分なまま進めてしまって、社内から修正が入り慌てた経験があります。
ステップ4:記事を書いてメディアに売り込む
すり合わせが完了したら、いよいよプレスリリースを書いてメディアに送ります。
ここまで来て初めて「プレスリリースを書く」という作業に入ります。よく誤解されますが、プレスリリースを書くことはゴールではなくスタートです。書いたものをどのメディアにどんなタイミングで届けるか——ここまでが広報の仕事です。
広報は「営業」でもある
ここまで「企画」の話をしてきましたが、もう一つ広報の本質だと感じているのが**「営業」**という側面です。
メディアへの売り込みは、営業そのものです。
「このネタはあなたの媒体の読者に刺さります」「こんな絵が撮れます」「こんなストーリーがあります」——記者に向けて自社のネタを売り込む行為は、営業担当者がクライアントに提案する姿と全く同じです。
記者との関係構築も営業に似ています。日頃から信頼関係を築いておくことで、「このネタ、あの記者なら興味を持ってくれるかも」という勘が働くようになります。記者クラブで名刺交換した記者さんに「先日の取材ありがとうございました」と一言添えたメールを送るだけで、次回の取材につながることがあります。
広報は「書く人」ではなく「仕掛ける人」
広報はプレスリリースを書くだけの仕事ではありません。
メディアに刺さるストーリーを考え、社内を巻き込んで企画を通し、メディアに積極的に売り込む——この一連の流れを動かすのが広報担当者の仕事です。
「書く人」ではなく**「仕掛ける人」**。その意識を持つことで、広報活動の質が大きく変わると感じています。
まとめ
- 広報の本質は**「企画」と「営業」**
- メディアに売り込むストーリーを考えることが最も重要な仕事
- 社内コンペ→すり合わせ→プレスリリース→メディアへの売り込みという流れ
- メディアへの売り込みは営業そのもの。関係構築が成果を左右する
「広報=プレスリリースを書く仕事」というイメージを持っている方に、この記事が少しでも参考になれば嬉しいです。
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